ドナ・ ウィリアムズ氏

次に読んだのが、ドナ・ ウィリアムズさんの自伝三部作。

自閉症だったわたしへ (新潮文庫)

自閉症だったわたしへ (新潮文庫)

上の本で特に印象的だったのが、「ウェールズの男性(ひと)」との恋物語(?)。


  列車の中で出会った彼らは、同じ魂を感じ惹かれあう。

  「きみはぼくが生涯かけて待ち望んだ最高の友達です。」
 と彼は言う。けれども
  「きみが好き」「その気持ちで、ぼくは自分が殺されてしまいそうな気がするんだ」
 とも彼は言う。
二人は再び会うことはなかった。


この本は、日本で最初に翻訳された当事者本らしい。
そして、世界初の当事者による自伝が、以下の本。

我、自閉症に生まれて

我、自閉症に生まれて

  • 作者: テンプルグランディン,マーガレット・M.スカリアーノ,Temple Grandin,Margaret M. Scariano,カニングハム久子
  • 出版社/メーカー: 学研
  • 発売日: 1994/03
  • メディア: 単行本
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補足

ウェールズのひと」について

彼と出会った瞬間、ドナは自分と同じ「ことば」を持っている人間だと感知した。
二人は時に無邪気な三歳児に戻って冒険し、
ドナは彼を、生まれてからずっと知っていた人のように思う。
繊細な魂のふれあい、はたまた異性(他者)に対する怯えと怖れ。
ところがやはり壁(殻)は厚すぎた。
美しく、そしてとても悲しい恋物語だと私は感じた。
(ドナの三部作は「普通の」恋愛小説的にも傑作だと思う。)


他に印象的だったのは、ドナが自閉の重い子供の(沈黙の)「ことば」を「読む」シーン。
その子の母はこの場面を目撃して言う。
「この子に[ことば]があるなんて、思ってみたこともなかった。でも今わかりました。(中略)
 どうやって話せばいいのか、わたしがわからなかっただけなんですね。」


それから、冒頭の、幼児期のドナが住んでいた世界。
色とりどりにきらめいているたくさんの丸でできた美しい世界。
そこでは、言葉は邪魔者でしかなかった。
(確か、リアン・ウィリーの『アスペルガー的人生』にも、そのような記述があったはず。)


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『我、自閉症に生まれて』で印象的だったのは、
彼女のパニックが原因で交通事故が起こった時にガラスの破片が降り注ぐ光景を見て
「アイス(氷)、アイス」と叫ぶシーン。
「(私はその時)奇跡的に、明瞭かつ正確に言葉を発せた。」
鮮やかな、映画のような一シーンだ。(なにがなし、ヘレン・ケラーの「水」を想起した。)
(だいたい、このお二人は記憶力が凄すぎます。ASの特性でしょうが。)


グランディンさんといえば「締め付け機」ですが、
つまり、「身体の接触と蝕圧刺激で超過敏性は減じる」との事ですが、
一番容易い方法はハグだと思います。(それが嫌でなければ。)


【以下、独白】
ハグに関しては男子は女子に比べて不利だと思うなあ。
欧米男子は平気でハグするそうですが。
(なお、フリーハグキャンペーンてふものがある。日本じゃ無理があるが。)