他の誰かになりたかった

最近読んだ本。
他の誰かになりたかった―多重人格から目覚めた自閉の少女の手記
他の誰かになりたかった  藤家寛子著・花風社刊

他に。
大人のアスペルガー症候群 (こころライブラリー イラスト版)
大人のアスペルガー症候群 (こころライブラリー イラスト版)
解りやすい本でした。
・「自閉症教育(「TEACCH」)のさかんなアメリカ・ノースカロライナ州には、
  不登校やひきこもり、非行、犯罪に陥るアスピーがいない」らしい。
ササッとわかるアスペルガー症候群との接し方 イラスト版 (図解大安心シリーズ)
ササッとわかるアスペルガー症候群との接し方 イラスト版
副題通り、見やすく解りやすかったです。
上記の本のメモ
・AS特有の時間感覚=時間の連続性が途切れる(タイムスリップ)。
 脳の辺縁系の働きに違いがある事と関係。
・支援例:「スケジュール」(予測のため)/「区切り」(空間をシンプルに)
・独特な知覚を持つアスピーの生き辛さは、超音波でコミュニケーションを取る
 蝙蝠の群れの中で人間が暮らさなければならないようなもの
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さて、冒頭に挙げた『他の誰かになりたかった―多重人格から目覚めた自閉の少女の手記』ですが、執筆の動機に切実なものを感じました(カバー見返し参照)。
著者、藤家さんは『自閉っ子、こういう風にできてます! 』で(私にとっては)おなじみですが、なぜ早くこの本を読まなかったかと言えば、Amazon カスタマーレビューを読んだからです。つまり、そこに「否定的な見解」が多かったからですが、実際に読んでみたら面白かった。
ですが、これは私の読書の動機が不純、だからかもしれません。
つまり、ワガコ理解の為の一助として読んだ一面も否定できないからです。
「自閉」を知る前なら「自慢げだ」と感じたり「文体に違和感を覚えた」かもしれません。
でも今は著者の輝ける個性や無邪気さに賛美を送るのみ。


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さて、この本の副題、「多重人格」について少し。
自閉症スペクトラムものがたり
自閉症スペクトラムものがたり』にも「ファンタジーの世界に入り込む」「他人格を創り出して乗り切ろうとする」例が挙がってましたし、
アスペルガー症候群と高機能自閉症―青年期の社会性のために

杉山登志郎さんの『アスペルガー症候群高機能自閉症―青年期の社会性のために』の中にも「ファンタジーへの没頭」「悪性の迫害的ファンタジー」「高機能広汎性発達障害解離性障害がまれならず生じる」「中にはまれではあるが多重人格に発展した例もある」等の言葉が出てきます。
ウチノコにもそのような傾向がありますので……不安。
でも上に挙げた本の中に以下のような言葉もあるし
「健常者であれば解離に属する自己意識の変容状態と一般的な意識状態との間の敷居が高機能広汎性発達障害においては著しく低く、むしろこのような意識状態の変容自体が、高機能広汎性発達障害においては発達の過程と見る必要もあるのではないかと考えられる」
ストレスを溜めずに、妄念抱きがちな傾向をプラスの方向に膨らませることができれば乗り切れるかな、とも思ったり。


ところで、ADHDになりたいかたは以下をご参照のこと。
AD/HDを疑似体験できる装置を発表<12/5 1:06>(キャッシュのみ)
世界初、「バーチャルAD/HD」を開発ヤンセンファーマ社)


蛇足
視覚野:夢の「再現」 夢じゃない?


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追記
児童精神科医NINA様のブログにこんな記事がありました。
統合失調症と広汎性発達障害の鑑別…

これを読んで思い出したのが、
「シリーズこころ  これ、統合失調症?」(読売新聞 医療ルネサンス
不登校の中1に大量投薬
幻覚、妄想 子供には普通
[Q&A]誤診 多くは初歩的ミス
上の三番目の記事中にありますように、ASが統合失調症と診断されること、稀ではないと思います。
そういえば、このようなサイトもありました。
誤診と高機能広汎性発達障害


ともかくも、本人の言葉をワンクッション置いて受け止める事が必要かなと思いました。