『アスペルガー当事者が語る特別支援教育〜スローランナーのすすめ』第四章

第4章 環境改善からの出発――特別支援教育で実現できること
 第1節 学校全体に対する改善案
 第2節 個別の問題に対する取り組み
 まとめ

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私にとって特に参考になったのが、「ライフ・サイクルの延長」でした。
つまり、この本の一つのテーマでもある「スローランナーたれ」ということですね。


詳しい目次
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第4章 環境改善からの出発――特別支援教育で実現できること
 はじめに
 第1節 学校全体に対する改善案
  1 教員の役割範囲の適正化
  2 授業クラス編成の適正化
  3 秩序化
 第2節 個別の問題に対する取り組み
  1 安全保障の取り組み
  2 危機予防型とセーフティー・ネット型
  3 経験管理の制限
  4 ライフ・サイクルの延長

  まとめ



全体の感想
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難しい部分もありますが、とても面白かったです。
診断当初、私は「病気でもないのに病院?」とか「療育って必要?」とか思っていましたから、
この本は勉強になりました。
また、(往時は)ワガコの子供時代がフツーの子に比べて長い事を喜んでおりましたから、
その点でも我が意を得たり的なところがありました。


また、高森さんの記述は弁証法的(テーゼ×アンチテーゼ→アウフヘーベン?)で、
小気味よかった。(「当事者」という看板を外してもやっていけるんじゃないかな。)
対談は必読、装丁も地味にかっこよかったです、はい。





高森さんが提案されている事についてあれこれ
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クラス少人数制については以前このブログで触れた気がします。
「学力」の事になりますが、こんな結果も。
全国学力テストに232万人、秋田「連続1位」に自信
「(秋田県は)1学級30人規模の少人数制を全国に先駆けて実施。」
(30人でも多いと思いますが。)
進度別クラスは、ワガコの場合、小学校の算数の授業がそれでした。














第四章の個人的な感想
(但し、私には、教師及び所謂定型発達者に対する「内在化した攻撃性」があるので聞き苦しい点があるかと思います。そういうの苦手なかたは読まぬが吉でしょう。)
(追記:勿論、教師にもいろいろ。素晴らしい方もいらっしゃるわけで、上の文章は不毛だったと反省。)
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「暗黙のルール」
ワガコがその罠にはまりました。
いや、親ですらそのルールを知らなかったので教師に問うと、無知を驚かれました。
学校という狭い世界の中でいくらそれが常識であろうが、そんなのは通用しませんって。
外国籍の保護者だったら、もっと訳分からんわけで、困ったモンです。
しかもその教師というのが、特別支援教育コーディネーター(笑)。
校内では教師は権力者ですから(武器は内申書)、
井戸の中にいる事を自覚するのは難しいかとは思いますが。


実現可能かつ簡潔な「規範」の明文化・一元化を望むところです。

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「いじめ」
SRをいじめる事は非SRにとっては赤子の手をひねるようなもので、
(何しろ、人の悪意を察するほどは 心が「発達」していないのでね。)
ワガコも散々な目に遭いました。
当時「いじめを理由にした出席停止」措置が喧伝されていたので淡い期待を抱いたものでした。
参照:
いじめを理由にした出席停止は5年間で12件しかないが、いじめを理由にした転校は1829件ある。
参照:
「子供を守る出席停止」(読売新聞・教育ルネサンス)


高森さんが提案している二つの方法は、是非取り入れて欲しいと思います。
・複数の大人の目でいじめの有無をチェック。
  都内の某区では、休み時間帯が一番いじめが発生しやすいということで、
  教師が交代で巡回しているそうです。
・いじめられた子供の避難室
 パニック時のカームダウン室としても有効かと思います。
 (ワガコの場合は、誰にも見付からない秘密の場所を持っておりました。)